雨の中、3~6年生16人と教師二人で犬島へ瀬戸内国際芸術祭2010を見に行ってきました。フェリーが出る宝伝の港には、強い雨にもかかわらず、たくさんの人が並んでいました。今週で終わるからでしょうか。とにかく、11時のフェリーには乗り切れず、戻ってくる船を待ちました。
はじめての船と言う生徒もいて、ちょっと興奮気味でしたが3キロもない短い距離を10分ほどで犬島に着きました。
チケットを買っている間は、みんなは砂浜で石を投げていました。黒い砂が多いのが印象的です。雨が少し小ぶりになる中を、あの有名な廃墟「精錬所」へ向いまいした。レンガの迷路のようなところを少し廻ってから、中に入るためにまた並びました。
美術の大村先生は、レンガを見ながら子供たちに色んな顔に見えるよねと、いっしょに石をたどっていました。
中にやっと入れるとまず、うす暗い玄関で待ちます。そして、扉を開けて中に入ると巨大な太陽の映像が光っているところからずっと長い廊下が見えます。電灯はなく、すべて自然の光を取り込んでおり、薄暗い中に黒い石が鈍く光っています。ゆっくりと歩いていくと、長い廊下は、実は折れ曲がっていて鏡を向かい合わせにしているのでそう見えたのです。振り返るとあの太陽がオレンジに光っているのが遠くに見えます。
そうして、大きな部屋に入るとそこには、部屋のかべがつってあり、下は大きな四角く浅い池のようになっていました。それから、さらに奥の間に入ると襖が向い合わせになっていて、それを開けると鏡が無限に反射して、そのうえに赤い光で文字が浮かびあがりました。おびただしい文字は、血が滴る様に、上から崩れ落ちて消えていくのです。
この文字が檄文だと聞き、ぞくっとしました。これは、柳幸典が三島由紀夫を素材にして作り上げたアートだったのです。この襖も先ほどの部屋の一部も渋谷にあった旧三島邸のものだったのです。
そとにも、その格子窓に囲まれて、中に金属でつくられた文字がおびただしくつってありました。それもおそらく檄文か「英霊の声」だと思います。
まさか、ここで三島に遭うとは思ってもいなかったので、驚きでした。子どもたちは、意味もわからないままでしたが、飽きる様子もなく、一生懸命見ていました。アートとして力を感じたのかなと思いました。
それもあったと思いますが、おなかも空いたようでした。
雨が一時闇、細い山道を歩いて、少年自然の家につきました。その玄関をお借りしてお弁当を食べました。すぐに鬼ごっこをしていましたが、滑ってずぶ濡れになる人もいました。
家プロジェクトも2件訪ねて、港に戻りました。はぐれた人もいましたが、ちゃんと港で会えました。
どうして、こんなに三島由紀夫に驚いたのかは、また、今月の読書について書くときにでも紹介できると思います。
そういえば、この柳幸典のアートを「ヒーロー乾電池」と名づけられていました。