ちょっと前になるけど、20日(日)はエステル・フィメール・ボイスの第5回定期演奏会でした。
すごく、みんなの声が際立つような感じがして、指揮をしていてもたのしい時間でした。
今回は、星野富弘さんの詩に大田桜子さんの作曲で組曲「母の手」をしました。
客席の人たちからも演奏者からも涙が出てきたという声が相次ぎました。
星野さんの詩に込められた思いやりのような優しい力とそれを的確に表現していく鍛え抜かれた作曲技術を持つ大田さんの音楽がそのようにみんなの心を動かしていったのだと思います。
それは、最後に演奏した大江健三郎の「新しい人に」でも同じでした。信長さんのすぐれた音楽にも詩の世界に飛び込ませてくれるような力があります。
私も練習の時には、あまり解釈について語るようなことはせず、音程やリズム、発声といったことをふまえて忠実に音楽をたどるようにして、その音楽そのものの力にゆだねるようにしています。
今回も、何を演奏者や聞いてくださった人がとらえ、心にふれるかは、私が主張することではなく、それぞれにふれてもらえたんじゃないかと思いました。
音楽を楽しんでもらいたいというのが、エステルの目的です。それは、やはり音楽の持つ力に迫っていくプロセスを大切にすることです。そういう意味で、難しい課題にもみんなが一生懸命取り組んできてくれた結果が、感動を味わう、音楽との出会いを経験出来たことになったと思います。
また、創立以来J-POPのアレンジ曲を取り上げてきたことは、かなり意識的なことです。
女声合唱という特質は、このジャンルの持つ音楽の楽しさを表現するのにあっていると思うからです。
合唱も、ピアノも簡単ではないのですが、音楽そのものにある力は際立つこともあります。今回も「花」や「遥か」は歌詞の内容を音楽が的確に表現された優れた作品でした。
そんなことを特に考えさせられたいい演奏会でした。おつかれさま。